Publication of “Information and Architecture”
本書は、2022年10月に開催された東京大学建築情報学シンポジウムを元に、東京大学・大学院の建築学科・建築学専攻に所属する教員が、建築学を構成する各分野での情報化の現状や教員自身の取組みについてまとめたものです。
当日登壇した教員38名が書き下ろしており、構造、環境、計画、歴史、材料、構法など、建築学を構成する各分野が情報化によってどのように変わるか、各教員がそれぞれどのような研究や活動を行っているか、また、建築学領域全体としてどのような方向に向かい、どのような課題を認識しているかといった、分野を超えた潮流や動向を知ることのできる本になりました。
是非手に取ってみてください。
目次
序章 建築情報学とは 池田靖史
「情報学」の視点と「建築情報学」の視座
「建築学」の視野とその文明史
情報処理能力の級数的拡大と社会への浸透
現実と仮想を横断する情報システムとしての建築と都市
建築学領域を融合させる本書の構成
1章 デジタル・クリエイティビティ
1-1 計算と手仕事の間にあるクリエイティビティ 舘知宏
1-2 できてきたまちの解明、わからないことのおもしろさ 岡部明子
1-3 情報の膨大化が加速する世界で、創造の主導権を握るもの 平野利樹
1-4 空間を〈快適〉から〈格別〉に向上させるクリエイティビティ 小﨑美希
1-5 物質-材料-構造をつなぎ、建築の振る舞いを可視化する 丸山一平
1-6 アルゴリズムによる最適化と人間の選択に宿るクリエイティビティ 谷口景一朗
2章 デジタル・インタラクティビティ
2-1 建築空間の数理モデリングが描く人々のインタラクティビティ 本間裕大
2-2 空間システムのデジタル化が設計・施工・利用をインタラクトする 今井公太郎
2-3 人と設備の双方向の働きかけを可能にする適応的環境システム 赤司泰義
2-4 サイバーフィジカル化する世界と建築計画 横山ゆりか
2-5 災害情報のデジタル化によるレジリエントなまちづくり 楠浩一
COLUMN システム的思考と建築情報学 糸井達哉
3章 デジタル・サスティナビリティ
3-1 木造建築を持続可能にする情報化技術の活用 藤田香織
3-2 住宅の脱炭素化におけるデジタル活用 前真之
3-3 建築のライフサイクルと情報技術 清家剛
3-4 デジタルツインは建築遺産の悲劇か希望か 林憲吾
3-5 持続可能な社会の基盤としての「得体のわかる」建築 野城智也
COLUMN 情報技術が変える建築と人間の関わり方 大月敏雄
4章 デジタル・マテリアリティ
4-1 デジタルで見る日本の庭:点群データが可能にする動く空間の追跡 三谷徹
4-2 木材を標準化せず、複雑な特性をそのまま活かす 腰原幹雄
4-3 デジタル技術を活用して新しい音響材料を創る 佐久間哲哉
4-4 デジタル化が可能にする性能劣化を防ぐ建築材料 野口貴文
4-5 構造から形態を考える形態創生手法の進化 川口健一
COLUMN アトムとビットをつなぐ建築の可能性 加藤耕一
5章 デジタル・プリディクタビリティ
5-1 半透明で軽量でムニュっと壊れる「壊れても死なない構造」 佐藤淳
5-2 音響のデジタル・シミュレーションと建築・都市への活用 坂本慎一
5-3 構造部材の破壊のメカニズムと予測の限界 山田哲
5-4 建物応答の高精度デジタル計測による耐震設計の進化 伊山潤
5-5 AIによる建築設備の設計と運用 大岡龍三
5-6 情報技術を使って人のアクティビティを予測する 本間健太郎
COLUMN 複雑な建物や人の振る舞いを予測する技術 田尻清太郎
6章 デジタル・レジティマシー
6-1 建築という行為に内在する情報とは 川添善行
6-2 建築のつくり方と情報量の増加 権藤智之
6-3 建築・都市・不動産のDXの連携とその効果 和泉洋人
6-4 福祉が社会化する時代に求められるケアの可視化 松田雄二
6-5 建築領域に閉じないデジタル空間記述体系の構築 豊田啓介
COLUMN DXを活用した循環型建築産業の創出 松村秀一
おわりに