加藤耕一准教授がサントリー学芸賞を受賞しました
加藤耕一准教授が、2017年度 第39回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)を受賞しました。
公益財団法人サントリー文化財団は、広く社会と文化を考える独創的で優れた研究、評論活動を、著作を通じて行った個人に対して、「政治・経済」「芸術・文学」「社会・風俗」「思想・歴史」の4部門に分けて、毎年「サントリー学芸賞」を贈呈しています。
1979年の本賞創設以来、第39回(2017年度)までの受賞者は329名を数え、これらの受賞者の業績は、主題への斬新なアプローチ、従来の学問の境界領域での研究、フロンティアの開拓などの点で高く評価されています。
従来、評論・研究活動を幅広く顕彰する賞は少なく、既存の枠組にとらわれない自由な評論・研究活動に光を当てることは、本賞の重要な役割となっています。
http://www.suntory.co.jp/news/article/13035-1.html
受賞業績は、『時がつくる建築──リノベーションの西洋建築史』(東京大学出版会、2017年)です。
本書の概要は以下の通り。
主要目次
はじめに
第1章 建築時間論の試み
1 既存建物に対する三つの態度
2 点の建築史から線の建築史へ
3 時間と建築の理念
第2章 再利用的建築観――社会変動と建築のサバイバル(古代末期から19世紀まで)
1 古代末期の社会変動
2 スポリア
3 中世の成長時代
4 中世の縮小時代
5 近代的価値観のなかの再利用
6 フランス革命と吹き荒れる転用の嵐
第3章 再開発的建築観――価値のヒエラルキーと建築の形式化(16世紀から現代まで)
1 野蛮の誕生
2 再開発的建築観と再利用的建築実践
3 パリの市壁
4 意図的な形式主義
5 無意識の形式主義
6 サン・ピエトロ再開発計画
第4章 文化財的建築観――文化財はなぜ時間を巻き戻したのか?(19世紀から現代まで)
1 野蛮の復権
2 ヴィオレ=ル=デュクと「修復」のはじまり
3 修復から保存へ
4 20世紀の国際的な文化財的価値観の整備
5 日本の文化財と時間の巻き戻し
第5章 20世紀の建築時間論
1 モダニズムからリノベーション時代へ
2 時間変化する建築の模索(1956年)
3 既存建物に対する態度(1964年)
4 歴史的建物の再利用という可能性(1978年)
おわりに