2023年度 卒業制作
辰野賞
金子 照由
ARCHITECTURE OF BITS ロボットは建築と都市をどう変えるか
「第33回東京都学生卒業設計コンクール2024」日本建築家協会関東甲信越支部 金賞受賞!!
「全国学生卒業設計コンクール」日本建築家協会 銀賞受賞!
風祭 覚
淡墨色の都市遺跡
「三大学合同講評会」石田健太朗賞!
「第33回東京都学生卒業設計コンクール2024」日本建築家協会関東甲信越支部 出展
中村達太郎賞
岩佐 元春
Lunar Twist Tower
「三大学合同講評会」出展
奨励作
Aコース(設計)
青木 絵利香 海庭 -海洋流出ゴミ回収インフラの提案、その風景-
「三大学合同講評会」千葉学賞!
「第47回 学生設計優秀作品展」レモン画翆 レモン賞受賞!
石川 敬一
だんだん・だんだん畑
「全国大学・高専卒業設計展示会」日本建築学会 出展
大嶋 ありさ
水都再編
「卒業制作2024」近代建築社 出展
「日比谷ランドスケープデザイン展2024」藤野賞受賞!
北里 萌音
まちまちを持ち寄り、
船越 碧 都市の祝詞
Bコース(研究)
宮田 龍弥 からくり空調シミュレーション
森野 僚太 鼓動する膜
選評
2023年度の卒業制作は、時代を反映して、多様なテーマに取り組んだ意欲的な作品が多く、評価軸を定め、賞を決めるのに大変な議論を要した。各人のテーマ設定が巧みで、デザインとエンジニアリングを横断、あるいは融合するような提案や、建築の外側に新たな活路を見出すような提案が見られたことは、自然を読み解くフィルターとしての工学に立ち戻るという観点からも、意義深いものと考えられる。一方で、さらに翻って建築自体の可能性を深く追求して、ドローイングや模型として具現化する力量が十分であったかというと、その点に関しては、もう一段高いレベルを求めたい。いつの時代も不確実性が伴ってきたが、現代では様々な情報が入手しやすい分、思い込んで突き進むということが難しいかもしれない。ただ、卒業制作として一度まとめ上げた経験は、今後設計を考え続ける糧となるものであり、取り組んだテーマは今後もぜひ大切に持ち続けて欲しい。
Aコース(設計)
金子 照由「ARCHITECTURE OF BITS ロボットは建築と都市をどう変えるか」《辰野賞》
建築におけるロボット活用可能性を試みた作品で、渋谷区千駄ヶ谷の自動車道と狭除道路に囲まれる街区を敷地とし、狭空間における新しい再開発のあり方を提案した。ロボットの開発から、ロボットが作る建築空間まで、緻密なシミュレーションを通じて検証を重ねながら設計を行ない高いクォリティの提案ができた点が評価された。
風祭 覚「淡墨色の都市遺跡」《辰野賞》
首都高速3号渋谷線の高架と国道246号線、東急田園都市線という都市的なスケールの交通が集まる池尻大橋駅において、自動車の交通量が減少する40年後の未来に敷地を設定し、地下鉄と橋脚の一体的な構造を露出させることで、スモールモビリティのハブとして空間を再編する提案。都市のインフラを構築的にやり替えるのではなく、むしろ掘るという減算的な操作による読み替えの可能性を提示するという設計者の姿勢が共感を呼んだ。土木的スケールで立ち現れてくる空間の表現や、既存の建築物との断面的な関係性などに関して、さらなる展開が期待される。
大嶋 ありさ「水都再編」〈奨励作〉
都市インフラとエコシステムを抱擁する駅一体型コンプレックスの提案。東京の水環境を再編する一環として、飯田橋の地に遊水機能を設け、水生植物のビオパークによって外濠を浄化する清流拠点を提案した。問題設定、敷地選定、提案過程及び提案、プレゼンテーションの丁寧さまで総合的にクオリティの高い作品だと評価された。
石川 敬一「だんだん・だんだん畑」〈奨励作〉
土石流の発生が予測されている小田原市JR早川駅付近を対象とし、新しい砂防システムとそれによる居住地、みかん畑の造成を提案した作品である。アーチを分節した形の砂防ダムによって土石流の向きをそらし、強固で透水性を持つ石垣を使うことで居住地とみかん畑の造成を試みた。土石流シミュレーションを綿密に行いデザインに活かした点、土木と建築を上手に融合した点が高く評価された。
青木 絵利香「海庭 -海洋流出ゴミ回収インフラの提案、その風景-」〈奨励作〉
海中のマイクロプラスチックを受け止めるフィルターとして機能する海藻の畑と海面を漂う目にみえるプラスチックゴミを押し留めるフェンスとしての防ゴミ堤を導入することによって、湘南の海に新たな風景を生み出す提案。海面と海中のランドスケープデザインという新しいテーマを主題に据え、確かなリサーチに基づくフェーズデザインや構造的検討を行った点が高く評価された。波に揺らぐ工作物の表情や潮の満ち引きに対する考慮など、より高いレベルでの意匠性と機能性の統合を求める声も少なくなかった。
北里 萌音「まちまちを持ち寄り、」〈奨励作〉
かつて自身が住み、また一部を改修した経験のある熊本県小国町を敷地として、地域の人々が材料や労働力を持ち寄って小さな場所を作るという提案。まず図面で設計がなされ、規格材によって設計図通りに施工されるというプロセスに対するアンチテーゼとして、まずモノと人があって、そこから自主施工できる範囲の中で外部に広がりを持った空間が立ち現れてくるという過程を描き出した。校倉の架構にはやや鈍重さがあるものの、ある程度の偶発性を許容した解体材の利用や人を中心としたものづくりへと回帰するという観点は、現在の設計行為に一石を投じるものであった。
船越 碧「都市の祝詞」〈奨励作〉
再開発が計画される六本木5丁目において、周辺の雑居ビル群を厚みのある囲い壁と捉え、現場の職人と街の住民が交錯するプログラムを挿入するという計画案。建築の作り手とその空間を享受する側をつなぎ、建設行為に対する畏れを可視化するものとして建築儀礼を位置付け、光・音・匂いといった情報量の操作から生まれるある種の違和感によって、建設行為へと意識を向けることを提案した。建設のために集まる人の場を作ることがひいてはデベロッパーの企業戦略としても有用であるという提言は、大変示唆に富み、再開発本体側への副次的な影響や新たなビルディングタイプの萌芽を予感させるものであったがゆえに、プレゼンテーションとして昇華されていない点が惜しまれる。
Bコース(研究)
岩佐 元春「Lunar Twist Tower」《中村達太郎賞》
近年本格化しつつある月面基地として独創性あるタワー状の形態を提案して全体像まで制作し、飛び移り現象を利用する展開機構を接合詳細まで制作してスムーズに展開するモックアップを実現できた成果が評価された。
宮田 龍弥「からくり空調シミュレーション」〈奨励作〉
建築設備分野において機器間の接続や連携動作は大きな魅力の一つであるが、その可視化は容易ではなかった。本作品は空調システムを模型でからくり化することに初めて挑戦しており、その完成度は体験性向上の余地があるものの、その面白さをわかりやすく伝えようとする意欲作であることが評価された。
森野 僚太「鼓動する膜」〈奨励作〉
曲げ材を引張材で拘束することによる安定効果を利用した膜構造を提案した作品であり、飛び移り座屈により異なる安定形状を得ることができることを利用し、鼓動する構造を創作するという意欲的な取組みが評価された。
作品リスト 56名
Aコース(設計) 43名
村社 俊介 都市のとまり木 〜地域にひらかれた学生寮〜
西 恵太朗 都市の中の緑溢れる公園
田中 慶季 本郷4丁目菊坂テラス
青木 絵利香 海庭 -海洋流出ゴミ回収インフラの提案、その風景- 奨励作
足立 信基 Somebody feels the same…
阿部 真斗 集纏の環 〜西武ドーム大規模改修計画〜
安部 道裕 媒 ─媒介として・触媒としての建築
有賀 萌香 ねじれ、ほどけ、からまる
石川 敬一 だんだん・だんだん畑 奨励作
石原 実季 耕し紡ぐ
石丸 彩夏 ”西巣鴨に建つ新たな学生寮〜コミュニティーで見つかる居場所〜”
井上 雄貴 商店街の「飛び地」
大嶋 ありさ 水都再編 奨励作
大滝 一朗 都市の移ろいを眺めて
鍵 慶和 トマリギ ~大泉緑地ビジターセンター~
風祭 覚 淡墨色の都市遺跡 辰野賞
金子 照由 ”ARCHITECTURE OF BITS ロボットは建築と都市をどう変えるか” 辰野賞
樺山 菜々 Thermal Mozaic -豊島清掃工場還元施設を再考する-
機田 悠希 旧堤防へ、そして河へ
北里 萌音 まちまちを持ち寄り、 奨励作
楠瀬 礼 商店街はつづく
呉 恵琳 食う寝るところ、よりどころ
河野 光貴 倉見の未来を築く〜橋と駅が描く交流と共生の都市像〜
佐々木 柊介 保育園留学と温泉街の再生
末永 欣吾 「樹」と「木」の間
田公 ゆりか 森の文化施設
田島 作朗 ”SNAKING VOID
ーハコモノ 建築の解体、子どものための都市”
太刀川 紘子 人と食材の交差点 ー交通拠点と物流拠点の重ねあわせー
田邉 匠 道、あるいは建築
辻󠄀井 颯 防砂林と共に
永田 脩 深き底、眠る知
中村 莉紗 ”会”廊〜巡る感じる育徳堂〜
福田 宗一郎 ちょっと足やすめ 〜半屋外図書館のある憩いの広場
船越 碧 都市の祝詞 奨励作
松浦 周太郎 環行する啼声
松岡 晃正 稜線裾野が走る
松田 道樹 谷に集まる時の流れ
松本 紘華 綯い交じる熱気 ー遊園地遺構転用計画ー
百瀬 晴菜 躰道に出会い、躰道に育つ
森田 和 モクコネクション
山口 俊輔 商店街に開く生活 -ゲストハウスおよび生活機能の点在-
山田 海音 さくらのいえ
吉村 由渚 つづくいえ、つづくまち
Bコース(研究)13名
岩佐 元春 Lunar Twist Tower 中村達太郎賞
大林 紅音 室内音環境の可聴化システム
岡 空来 AirOri
奥村 優 ザイフェルトテンセグリティ
神谷 弘貴 浮遊基礎構造を有した対災害住宅の検討
川﨑 祐輔 FEMを用いたRC造袖壁付柱加力実験の検証
寒川 湧太 設計する身体の共振 遺棄された者の覚え書きを通じて
武田 稔矢 ”地震を見る、地震を感じる Unityによる応答解析結果の可視化とVR地震体験”
谷口 侑 コンクリートのみかた
松谷 滋瑛 浅草寺二天門における根継ぎの特異性と継手の発展性
宮田 龍弥 からくり空調シミュレーション 奨励作
森野 僚太 鼓動する膜 奨励作
山八 瑞樹 ”実大鉄骨造骨組の載荷実験における荷重変形関係図のループの原因解明と、その修正プログラム”