University of Tokyo - Department of Architecture

2019年度 卒業制作

辰野賞


丹羽 達也  TOKIWA計画

 日本建築家協会関東甲信越支部「第29回東京都学生卒業設計コンクール2020」出展,「三大学合同講評会」出展,
 「せんだいデザインリーグ:Re-2020」日本二 & 冨永美保賞(審査員賞)受賞!

西田 静   住み継ぎ

 日本建築家協会関東甲信越支部「第29回東京都学生卒業設計コンクール2020」出展,「三大学合同講評会」出展,
 「せんだいデザインリーグ:Re-2020」11選に選ばれました!

中村達太郎賞

南谷 幹人  透明木材が拓く建築の新たな可能性

奨励作

Aコース(設計)
木村 七音流  やわらかい建築を目指して

 日本建築学会「全国大学・高専卒業設計展示会」出展
石垣 輝海   浮かぶ歯車
高木 果穂   また巡りはじめる僕たちのまち
千葉 拓    船を解くことと建築

 レモン画翆「第43回 学生設計優秀作品展」出展,「三大学合同講評会」出展
三谷 望    逆転の放棄茶園
 近代建築社「卒業制作2020」出展
山田 大生   都市の傷に下屋というかさぶたをおいてみたら。

Bコース(研究)
増田 朱音   地域冷暖房ってなんだ?
松本 雄馬   地震時室内被害シミュレーション


選評

 2019年度の卒業制作は、例年に比べ、全般的にテーマの設定が上手で印象的であった。特に、環境問題や保存等が非常に大きな課題となっている現在、時間を巻き込むというのはこれからの建築における課題になると考えるが、時間をテーマにした作品が多く、また、近年まれに見るぐらいユニークなテーマが集まっていて、非常に興味深かった。しかしながら、案が良いか否かに先立って、案が伝わるか伝わらないかが大切である。その点を留意して図面、パース、模型、制作物などの表現についてより工夫してほしい。また、卒業設計では、自由にテーマを設定して提案を行ったが、これからは与えられた条件のもとで面白いテーマがうまく設定できるかが重要で、今後はこの部分にターゲットを置いて学習していってほしい。

Aコース(設計)
丹羽 達也 TOKIWA計画《辰野賞》

 常盤橋公園周辺を対象として、将来計画されているさまざまな再開発・整備といった都市の変化を想定し、各時点の状況に対応して変化してゆくような計画の提案である。各工事で必要となる足場やクレーンなどの仮設構造物を取り込み施工現場を計画しながら、各時点で発生した不要となった部材や空間を再利用した船着場やサイクルシステム、オフィスなどのパブリックな機能を適宜挿入し、全体が設計されている。敷地で今後実施されるさまざまな工事の内容を詳細に読み込み、それを元に緻密な計画を組み立てており、そのリアリティが高く評価された。また、その姿を常に変化しつづけてきた東京という都市のあり方を、本計画自体が象徴している点でも高く評価された。一方で、実際に市民にとって魅力的な場となっているのかがプレゼンテーションなどでは効果的に表現されていない点などが指摘された。

西田静 住み継ぎ《辰野賞》
 「住み継ぎ」という家の中を片付けて、次の人に継ぐプロセスを定義し、福島県奥会津の高齢化・空き家化が進む実際の集落を対象に住み継ぎプランを提案。倉庫に注目したことがユニークで、また、時間軸を巻き込んだ緻密な計画が印象的である。本提案で設定した20年というタイムスパンがまちの変化においては短く、より長い期間のプロセスの提案が良かったのではという意見もあったが、空き家問題を一つの過程にとらえ課題を解いていくプロセスが高い評価を得た。

木村 七音流 やわらかい建築を目指して〈奨励作〉
 設計者によって使い方が一義的に決定されるのではなく、住み手によって使い方が変化し、また住み手が改変できるような住宅を提案する計画である。S構造と木造の2種類のグリッドを角度を振って重ね不整合性を生み出すことで、部屋というまとまりを崩し、またDIY的に構造を改変することが可能なシステムを設計している。提案の中では、さまざまな住み手を想定し、どのようにそれぞれが住宅を住みこなすのかを想像したプレゼンテーションも作成されていた。現代的なテーマは共感を呼んだが、不整合性をしくむことで具体的にどのような効果が生まれているのかについて説明・プレゼンテーションが不足している点、設計者である本人がどのように想定した住み手を関係しているのかが明示されていない点が指摘された。

石垣輝海 歯車〈奨励作〉
 ジャカルタ北部の新たな海上空港計画の代案として、ジャカルタの中心地により近い湾岸部に浮体式空港を提案した。講評では、空港という巨大なスケールの建築を、スクラッチから考え、形までキチンと提案した力作であると高い評価を得た。一方で、円形という完結性の高い形を使ったことによる拡張性への問題や、アライアンス別にターミナルを造るという現在の航空システムのトレンドを考慮するとよりよい作品になったのではないかとのコメントもあった。

高木 果穂 また巡りはじめる僕たちのまち〈奨励作〉
 福井県敦賀市の廃線となった貨物線を地域に点在するコミュニティや観光地を繋ぐ仕掛けとして再活用する計画である。貨物線を1日3.5往復するレール上を移動する構造物が、沿線に設置された児童館やチャレンジマルシェ、図書館などの各地域の拠点の間を行き来し、人やモノを運ぶことが提案されている。ユニークなアイディアや、プレゼンテーションで描かれた情景は高く評価された一方、駅と移動する構造物のデザインが似通ってしまっているために、駅と構造物が合体した時の機能・空間・形態上の変化が結果的にあまり感じられない点、構造物が移動するというアイディアを裏打ちするリアリティが詰めきれていない点が指摘された。

千葉拓 船を解くことと建築〈奨励作〉
 現行の船舶解体の担い手がいなくなった際、各国内で処理費とともに船舶解体が委託されると仮定した際の日本における船舶解体場の提案である。船舶の解体という目のつけ処が非常に面白く、巨大な構造物についてのアプローチが挑戦的、解体プロセスが公園になるという発想が斬新であったと評価。一方で、まちとの関係、既存都市との関係が薄いこと、表現においては、建築的な操作は上手に表現できたが、それによって生まれる活動がよく伝わらないとの指摘もあった。

山田大生 都市の傷に下屋というかさぶたをおいてみたら〈奨励作〉
 都市計画道路「補助54号線」の原案に対し、下北沢を対象に市民たちが自主的にまちづくりを考えられるような場をつくることの提案である。暴力的な幅広道路による都市空間の破壊に対して適切な解決策を提案したこと、空間的なセンスが良く表れたことが高く評価された。反面、個別空間の中ではどのような活動が行われるかについては具体化されてないことについての所見もあった。

Bコース(研究)
南谷幹人 透明木材が拓く建築の新たな可能性《中村達太郎賞》

 木材を構成する3要素セルロース、ヘミセルロース、リグニンのうち、リグニンの色素を漂白し樹脂を注入することで透明木材を制作し、その特性を活かしたHPシェルを提案した。素材の開発に留まらず、その素材の特性に着目して建築物の提案にまで至った点、また単なるガラスの代用品としてではなく新たな透明部材の活用方法が提案された点が高く評価された。

増田朱音 地域冷暖房ってなんだ?〈奨励作〉
 国内での認知度が低い地域冷暖房を広く認知してもらうことを目的に、需要家側の制御に着目して地域冷暖房システムの導管の流量・温度等を表示する模型を制作した。実際に需要家側の流量制御を変更することで熱源の消費電力量等が変化するインタラクティブな模型のコンセプトは評価された。一方で、省エネルギー性を数値以外でわかりやすく伝えるなど、より多くの人にシステムが理解されるための工夫が課題として挙げられた。

松本雄馬 地震時室内被害シミュレーション〈奨励作〉
 地震時の家具転倒リスクに対する注意喚起を目的として、建物構造・階数・入力地震動などを選択することで地震時の室内の状況をアニメーションで示すアプリケーションを開発した。簡易な操作によってわかりやすく家具転倒のリスクを伝えられる操作性の良さが評価された。また、家具の転倒防止対策の有無による効果の検証や、実空間を対象とした検証など、今後の継続的なアプリケーションの開発への期待が寄せられた。


作品リスト 52名
Aコース(設計)

橋本 大弥   学びの場、くつろぎの空間
髙木 麟太朗  図書の洞窟
岸名 遼平   所有しないことから住居のあり方を考える
木村 七音流  やわらかい建築を目指して  奨励作
山崎 舞以   Access,Connect,Research
有田 啓悟   東京キネマ倶楽部会場デザイン
石垣 輝海   浮かぶ歯車  奨励作
伊勢坊 健太  Shibuya Skeleton Deck
伊藤 圭祐   Prometheus
今田 翔子   日常にさりげないまじわりを
牛尾 翔太   都市と森の狭間
氏岡 啓威   白砂スタジアム 〜シラスコンクリートを利用したサッカースタジアム〜
尾崎 雄太   Old New Town まちのたたみかた
小山田 雅史  街に溶ける駅
川榮 修平   KAMATA THE NEW STREAM -高架下再考-
木勢 哲弥   the Construction of a cruise ship in the new era
木原 悠    VR空間上に構築されるe-Sportsスタジアム
倉品 凜一   運動農園場
倉智 健史   隣り合わせの居場所
洪 運蘊    分離可能な子供部屋がある子2人家庭の2LDKマンション
河野 優子   麹町に残る放送局と多層化による教育・文化の街への提案
児玉 峻    銀座×KK
坂口 杏    劇場をひらく
櫻川 廉    建具
高木 果穂   また巡りはじめる僕たちのまち  奨励作
千葉 拓    船を解くことと建築  奨励作
那須 昭碩   改渠のち開渠 -生き続ける遺構の在り方-
西田 静    住み継ぎ  辰野賞
丹羽 達也   TOKIWA計画  辰野賞
日野 裕輝   那覇を巡る、那覇が巡る。
平田 京市郎  繁花街
廣野 智史   彼らの都市
三井所 清人  砧公園斎場 〜生と死の距離感〜
三谷 望    逆転の放棄茶園  奨励作
南原 顕    新白岡ー持続的な未来へ
森 海翔    熊野町環状交差点
矢野 裕一朗  猥雑化する都市 -野沢温泉村における新ターミナルの設計-
山田 大生   都市の傷に下屋というかさぶたをおいてみたら。  奨励作
鷲野 史佳   街のセーフティネット

Bコース(研究)
高木 道仁   デジタル画像処理を用いたRC部材のひび割れの特徴量計測手法の改良
馬淵 将明   防災備蓄品×シェアリングエコノミー
今井 連    物理エンジンを用いた地震シミュレーションとデジタルツールの連携システム
梅國 真    建物の終活を考える
北村 誠    応力をみる
鈴木 史哉   実大実験棟を用いた潜熱蓄熱建材の設計手法の研究
鈴木 実冬   建築物におけるエネルギーの有効活用に向けたWebアプリケーションの開発
坪井 洸太   Strain Monitor
増田 朱音   地域冷暖房ってなんだ?  奨励作
松長 由子   バロック以降における服飾と社交空間の変遷
松本 雄馬   地震時室内被害シミュレーション  奨励作
南谷 幹人   透明木材が拓く建築の新たな可能性  中村達太郎賞
山口 雅人   AI×建築