大月 敏雄
建築の設計とは、要求相矛盾する多数の人間の生活を合理的に支援する環境をいかに構築するかという作業といえる。
その設計の基礎となる考え方を導くために、すでにある環境を人間がどのように使いこなしているかを解明することを目指している。
また、従来の建築学は主として「新しく環境を構築する」ことに主眼が置かれていたが、環境問題・高齢少子化・経済低成長を背景とした現在、「すでにある環境をいかにつくり変えていくか」ということも重要となっており、こうした「空間のストック」をいかに次世代に継承していくかということにも取り組んでいる。
具体的には、以下のような研究に取り組んでいる。
・長期経過集合住宅(同潤会アパート、公団住宅、古い分譲マンションなど)における住みこなし、環境形成、建替えに関する研究
・戸建団地における住環境運営(住宅地マネジメント)に関する研究
・高齢化しない地域づくりのための、居住環境再編に関する地域計画的研究
・居住地間の連携によるまちづくりに関する研究
・世界のインフォーマル居住地の住環境改善に関する研究
人間がより豊かで多様な関わりを持てる環境を作ることを目的とし、人間が環境をどのように知覚・認知しているか、あるいは環境における人間行動、生態など、人間が本来的に持つ性質を実証的な観察・実験により明らかにし、それを基礎とした建築・室内・環境デザインの理論を構築するための研究を行っている。具体的には、人間個体まわりの空間、住宅内、病室、オフィス、公共的空間などを対象としている。
専門
建築計画・ハウジング・住宅地計画
略歴
1967年 福岡県生まれ
1991年 東京大学工学部建築学科 卒業
1993年 東京大学大学院工学系研究科 修士課程 修了
1996年 東京大学大学院工学系研究科 博士課程 単位所得退学
1997年 横浜国立大学工学部建設学科 助手、博士(工学)取得
1999年 東京理科大学工学部建築学科 専任講師
2003年 東京理科大学工学部建築学科 助教授
2007年 東京理科大学工学部建築学科 准教授
2008年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 准教授
2014年 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 教授
主な著書
『近居-近居-少子高齢社会の住まい・地域再生にどう活かすか』(編著)学芸出版社2014年
『3・11後の建築と社会デザイン』(共著)平凡社新書2011年
『復興まちづくりハンドブック』(分担執筆)ぎょうせい2011年
『2030年超高齢未来』(分担執筆)東洋経済新報社2010年
『奇跡の団地 阿佐ヶ谷住宅』(共著)王国社2010年
『集合住宅の時間』(単著)王国社2006年
『近現代都市生活調査同潤会基礎資料Ⅲ第1-12巻』(共編著)柏書房2004年
『新版アエラムック 建築学がわかる』(共著)朝日新聞社2004年
『事例で読む現代集合住宅デザイン』(共著)彰国社2004年
『環境行動のデータファイル』(共著)彰国社2003年
『消えゆく同潤会アパート』(共編著)河出書房新社2003年
『20世紀の建築における災害と防災技術』(共著)技報堂出版2002年
『JKKハウジング大学校講義録Ⅱ』(共著)小学館スクウェア2001年
『幻の住宅営団-戦時・戦後復興期住宅政策資料目録・解題集』(共著)日本経済評論社2001年
『戦時・戦後復興期住宅政策資料 住宅営団』(全6巻、18分冊)(共編著)日本経済評論社2000年
『アジア建築研究』(共編著)INAX出版1999年
『同潤会のアパートメントとその時代』(共著)鹿島出版会1998年
『20世紀建築研究』(共著)INAX出版1998年
『人間・環境系のデザイン』(共著)彰国社1997年
『SDSシリーズ「集合」』(共著)新日本法規出版1996年
ほか