University of Tokyo - Department of Architecture

Diploma Design 2013

辰野賞
川島 奈々未  Twining Delta: A Pipeline for Life
 (3大学合同講評会へ出展・審査員特別賞受賞 / 日本建築学会「全国大学・高専卒業設計展示会」へ出展)

中村達太郎賞
瀧口 雅之   GLASS CUBE 局所加熱による立体ガラス溶着

奨励作
Aコース(設計)

末廣 康介  green circulation
 (近代建築社「卒業制作2014」へ出展)
田島 理奈  Diffused Reflection Means Defused Situation -集合大使館-
 (日本建築家協会関東甲信越支部「第23回 東京都学生卒業設計コンクール2014」へ出展・審査員特別賞受賞)
寺田 慎平  東京は、ヘテロトピア
 (3大学合同講評会へ出展・大賞受賞 / レモン画翆「第37回 学生設計優秀作品展」へ出展)
前川 智哉  都市に住む
  (日本建築家協会関東甲信越支部「第23回 東京都学生卒業設計コンクール2014」へ出展)

Bコース(研究)
佐藤 恵治  壁面浸水実験装置の開発とその使用例
西濱 惇矢  略鎌継の形状の違いにおけるシミュレーション解析-建長寺仏殿を対象として

選評
Aコース(設計)
川島奈々未 Twining Delta: A Pipeline for Life 《辰野賞》

 種子を保存することを目的とし、日本には未だ数事例しかない種子バンクの新しい形として、水耕栽培装置を組み込んだシェル構造のユニットによるタワーを都市に展開するという作品である。様々な農作物は、形や熱伝導率の異なるシェルによって垂直方向に効率よく育てられ、その緑の壁自体が都心の大規模な農作物展示空間となると共に、生物多様性の失われた現代の農業に対する新たな流通システムを確保し、新しい投資を呼び込む目的がある。その緻密に考案されたストーリーと、シェルを通る冷水の輻射熱によって室内や周辺環境を制御するなどの構造、設備、緑化が一体となった統合性、都市における巨大な植物のようなフラクタルな造形及びそのデザイン力とプレゼンテーション技術、その全てにおいて高く評価された。

末廣康介 green circulation〈奨励作〉
 建築の屋上や壁面にまとわりつく、固定化された形ばかりの緑化に疑問を呈し、都市緑化を真に進める方策のひとつとして、移動可能な植木鉢を利用した新しい都市緑化を提案した。ただ植木鉢を街に置くのではなく、都市の店舗や住居にレンタルすることで総量としての緑を増やす仕組みを考案した。またその生産地とユーザーをつなぐ流通拠点を渋谷の中心部に配置し、都市と農村の関係性を浮かび上がらせるとともに、一時保管時でさえ緑は景観となることに着目し、見える倉庫としての流通施設を設計した。流通施設の設計に関してはその構造や造形のロジックがプログラムに適しているか否かが問われたが、新しい都市緑化を目指すストーリー構築と、植物を組み込んだストリートファニチャーが生み出す都市のアクティビティなどが評価された。

田島理奈 Diffused Reflection Means Defused Situation -集合大使館- 〈奨励作〉
 大使館というビルディングタイプの持つ特殊性及び表象性と機能性を再構成し、いわゆるビルを持たない小国の大使館を集合させるという提案。国力の差によって生まれる大使館建築の機能的・意味的格差を解消する平面計画を提案し、繊細なガラスのポリゴンによって構成された形態から国々の顔が光のトンネルを介して一同に可視化される、オリジナリティあるプログラム構成と大胆かつ魅力的なデザインを併せ持った計画であった。形態自体の根拠や場所性に対してはその必然性などについて疑問も出されたが、その造形力は特筆に値するものであったことから、プロジェクト構想と共に高く評価された。

寺田慎平 東京は、ヘテロトピア 〈奨励作〉
 伊豆大島に、「空港」と「港」という、島の玄関でありかつ人々が「待つ」ための空間を設計した。島の3圏構造になぞらえて、堅牢な基礎と、壊れてもいいはかない覆い、その間という構成を詩的に建築に応用した提案である。住民は大島の噴火という災害を畏敬の念をもって待っており、観光客は空港や港で旅の無事を祈るように待つ。待つという行為を通して、島民と観光客をつなぐことを意図した計画で、民俗学や神話を引用しつつ、スケッチによりひとつの世界観へとまとめあげた、その卓越した表現力とストーリー構成が評価された。

前川智哉 都市に住む 〈奨励作〉
 日本の典型的な住居形式の集合住宅のほとんどが、不動産的観点で計画・建設され販売されることに疑問を呈し、そのカウンタープロジェクトとして、ベトナムの町家を思わせるストライプ状の壁の形式による、世代を超えて永く豊かに暮らせる集合住宅の仕組みを提案した。住民は生活の変化に併せて、建具や間仕切りの位置、仕様を自由に変えていくことができ、集合住宅全体の在り方も、時間とともに変化していく。スケルトンとして、都市のインフラ・ストックとして、残っていく部分と変化していく部分を見極め、誠実に取り組んでいる姿勢が評価された。

 惜しくも奨励作は逃したが、小南弘季君の「月の沙楼」は講評会で激しく議論がかわされた。福島第1原発の事故と現状に対する問題提起をファンタジーとして提示した本作品は、ストーリーの創作性は評価されつつ、最終的に提示された形が古典的であったため、教員の評価が大きく割れたが、原発と建築という非常に難しい問題に果敢に取り組んだ意欲作であった。

Bコース(研究)
瀧口 雅之 GLASS CUBE 局所加熱による立体ガラス溶着 《中村達太郎賞》

 世界中の建築物で利用されるガラスの大きさは、主にその搬入方法に制約を受けている。本制作では、建築現場においてガラスを利用するときの課題である「大きさの制約」を解決するため、現場でガラスを溶着し大版化する技術を提案した上で、実際に小型のポータブル溶着装置を開発し、それによって作られるガラスの残留応力を最小化するための温度分布・最適な溶着箇所の検討を行っている。一般的にガラスの残留応力をなくすには、全体を加熱しながら温度むらができないようにすることが必要であるが、本提案では、局所加熱によってもガラスの溶着が可能であることを示し、またこの手法による工学的課題を分かりやすく提示した点が評価された。

佐藤 恵治 壁面浸水実験装置の開発とその使用例 〈奨励作〉
 卒論では、近年の気象変動に伴う都市内洪水の大規模化・大被害化を踏まえ、洪水時に建築物に水が浸入する際の部位の特長や、流速などを計測するための基礎的検討、止水性能を向上させる補修工法の評価方法の検討を行っている。これを踏まえ、卒業制作では、住宅が浸水した状況を再現する小型ポンプと水槽を組み合わせた模型を制作し、動的に水位を変化させることで専門分野の人には工学的な議論のきっかけとなり、専門外の人の知識がなくても理解できるよう考案された模型が評価された。

西濱 惇矢 略鎌継の形状におけるシミュレーション解析脱 ー建長寺仏殿を対象として 〈奨励作〉
 伝統木造建築物の継手の形状と構造耐力の間には複雑な関係があり、継手の種類に大きく依存して変動することが予想されている。しかしながら、地震が来た際の継手部分の材料力学的な応力分布は明らかでない部分が多く、 正確な構造耐力評価が困難であるのが現状である。本制作はこのような工学的課題を踏まえ、建長寺仏殿の略鎌継の応力解析を行い、これを模型化して展示し、また解析の内容や研究の必要性をわかりやすくブックレットにして展示している。構造・材料力学的な工学研究を深く追求し、かつ専門の人間から専門外の人間まで広く伝わるように工夫している点が評価された。


作品リスト
Aコース(設計)

内海 理美 東京水槽
富田 潤 Water Frontier
若山 敦志 公園内多目的施設+1
秋山 佳祐 Emerging Scaffolds
アントニ Medical and Fishery Facilities in Goto Island
石川 尭子 Shelwes
一杉 泰生 TRAIN LIBRARY
岩井 茂 IHATOU KOMPLEKSO
生沼 幸司 記憶の方舟
大泉 裕生 Olympic Memorial 2020
金口 晃 UNDERGROUND
川島 奈々未 Twining Delta: A Pipeline for Life 辰野賞
神戸 寛貴 シロナカ
小林 愛佳 都市の住処
小南 弘季 月の沙楼
佐伯 慎太郎 Rediscover Redevelopment
末廣 康介 green circulation 奨励作
杉山 宗志 切り取る – 百貨店
田島 理奈 Diffused Reflection Means Defused Situation -集合大使館- 奨励作
長木 美緒 谷でつながる
寺田 慎平 東京は、ヘテロトピア 奨励作
杜 凌子 蜀季
中田 清史 このまちらしさを探して
中村 聡子 神降る山 仰ぎ見る杜
西崎 慶 わんぱくこども園
能上 香里 Color Bars
原谷 健太 DISCONNECTED ZEROTH PLACE
福田 航 Fill in the Fa?ade
前川 智哉 都市に住む 奨励作
松原 稔 双棟の庭
矢吹 慎 参道 村の蘇生
山本 健太 棚田の庭
吉徳 祥哉 CAPSULE 2014

Bコース(研究)
印牧 岳彦 Frederick Kiesler’s Endress House
河合 優奈 建築物の保存活用における開口部の改修設計
久世 雄太 鉄筋コンクリート造柱梁接合部の等価粘性減衰定数の推定法に関する検討
香本 響太 ヒトが人間になるために~千駄木ハウス
?橋 光 鉄筋コンクリート造柱梁接合部の破壊画像データベース
瀧口 雅之 GLASS CUBE 局所加熱による立体ガラス溶着 中村達太郎賞
西村 航平 鉄粉末を用いたミクロセル誘発型腐食生成物皮膜形成手法に関する製作物
柳澤 太郎 RC造建物におけるスラブの影響と既存建築物の新たな補強方法
井波 まどか 津波の衝撃力による建築物の転倒について
金井 健太郎 近代木造建築の個別要素法による解析的検討
鎌村 ちひろ 木材縦引張クリープの測定と湿度依存性に関する研究
斎藤 剛寛 建築における3次元画像計測の活用に向けた課題の検討
佐藤 恵治 壁面浸水実験装置の開発とその使用例 奨励作
鈴木 彩夏 津波によるコンクリートの塩害
竹村 淳 ZEH 適合判定ツール
辰巳 夢治 空調システムコミッショニングツールの開発
西濱 惇矢 略鎌継の形状の違いにおけるシミュレーション解析~建長寺仏殿を対象として 奨励作
新田 光 飯岡の津波と復興
前田 矩宏 コンクリートの微細ひび割れに対する希薄スラリーと炭酸ナノバブルを用いた補修法
孟 暁紅 酒棚に適する照明を研究するための実験装置の開発